10. 新しい人生

へそくりを全部はたきだして、東京の半蔵門の近くのダイアモンドホテルでそのセミナーを受けました。
90名の人たちの人生をかいま見ることになりました。心のなかをも見ることになったのです。私だけが悲しかったのではなかった。みんな一緒だった。

私は自分を認め、暖かく受け入れるようになりました。
5日間一緒にいた友人たちとはほんとうに兄弟姉妹のようになりました。
最初突っ張っているように思えた高校生も、最後には顔つきまで変わってそのセミナーに参加をすすめた母親に抱きついて泣いていました。
私の人生を変えてしまったセミナーだったと言えます。

それから、出会いが変化したからです。
四国に戻ってからも不思議な出会いは続きました。
私自身が男性に対する偏見をもっていてその思いで引き寄せていた人間関係でした。男性に対する恐れがなくなったので今までなら構えて話をしていたのに全く自然体で付き合えるようになったのでした。

セミナーでは特別変わったことをするのでなく、リーダーを中心に人の話を聞いたり自分が発言するだけでした。
時々、ペアになったり、グループになったりして、心の感じていることや自分の気持ちを話しました。
人の語る人生はまるで映画とみているようでした。その話を聞きながら私はその人の人生をも体験したような気持ちになったのでした。

このセミナーのおかげで今があるといっても過言ではありません。
ある意味で、私の内的革命をしたのがこのセミナーでした。
悩んで苦しんでいなかったら、このアメリカ生まれのセミナーには出会うこともなかったことでしょう。
男性への恐怖が、というより人間を信頼できるようになったセミナー終了日の前日、私はある男性に出会いました。

現在も何やかやと私を導いてくれている税理士の五十嵐さんと新宿のビルのエレベーターで出会うのです。
セミナーの最終日には、ゲストを連れて会場に行くという企画があって、このセミナーで得た体験を分かち合いゲストとして、何人の人に参加してもらえるかが宿題として出されました。
東京には、当時1人か2人しか知り合いがありませんでした。「3人連れて行く」といってしまった私は後悔し始めていました。

新宿のNSビルの14階のレストランでお茶を飲んでから、知り合いに電話をして断られ、宿舎に戻ろうとして閉じかけているエレベーターにうまく飛び乗ったのです。
「いい運動神経してますね。」と声をかけてくれたのが五十嵐さんでした。そしてそのエレベーターには三人の男性が乗っていました。
一階に降りて行く間に「ゲスト」参加のことをしゃべってしまい、とうとう五十嵐さんが、次の日きてくれることになったのです。
私のなかで男性との違和感がなくなったばかりのときでした。奇跡が起こり始めたのです。

それからというもの、五十嵐さんは私が四国に帰ってからも、私にとって魂の師匠でした。
いままで魂のために栄養をあげたことはありませんでした。
セミナーに出たことでまったく違う世界に足を踏み込んでしまったのです。あるとき私が「東京で仕事をしてみたい」と言ったら、五十嵐さんは「来れば。やってみれば」といとも簡単に答えました。

セミナーに参加したあとの私は生きていました。四国に戻ってからも、元気でした。
何度も死のうと思ったことが嘘のようでした。
夫以外の男性に、そう、初恋の人への思いが再燃していて自分をものすごく責めていました。それが一番の悩みであり苦しみでした。
そのことを聞いたヘザーは、このセミナーを推薦してくれたのでした。

当時、小4だった娘は私の変化に気づき、リーダーのなみさんに渡してほしいといって葉書サイズの紙を1ヵ月後に上京するとき私に渡しました。
「なみさん、ありがとう。お母さんはいつも死にたい、死にたいと言っていました。でも、今は違います。元気になりました。私はいつか、なみさんに会いたいです。」と書いてあったことを私は後日なみさんの手紙で知るのです。なみさんはリーダーになってよかったと言いました。

そのセミナーを書いたのは、アメリカの自由思想家の哲学者であり、実業家のワーナーエアハードでした。
彼はハンガープロジェクトの発案者でもありました。そして、私は四国にこの運動をセミナーのあと持ち帰り、当時その運動を中心となってやっていた玉川大学の大内博教授や志芝田影樹の甥の下田さんとつながります。
その運動は世界の飢餓を2000年までに終了させるというものでした。
私は四国では一番がんばって寄付を東京に送ったことで評価を受けていました。

セミナーで学習したことは「今しかない」ということ。
「今がいちばんパワフルであること。」
「思いは、そして言葉はものごとを創造する力があること」。「感情というものは自分があると思っているだけで実際には存在しない。さらにあなたという人はあなたの話す言葉である。」と言うのです。

それにこの宇宙は共鳴するもの同士を引き寄せるものです。響き合わなくなった関係は自然に解消されて行きます。
例えば、友人同士でもどんどん変化するのは、この法則が働いているからです。
私たちは変化を嫌います。でも、変化は魂の成長にとっても大切です。
人生は川の流れ、淀むと進歩しません。変化する岸の景色を眺めながら、人生は流れて行くように思えます。

次は、「第四章 1.東京へ」