6.猫と私

猫が大好きな私は娘のころからいつも猫との付き合いは欠かしたことがありません。
うちにはジルと言う猫がいます。こわがりです。
野性そのものの目の輝きはペットというよりは、動物園の山猫みたいで精悍な感じがする子なのにとてもこわがりなんです。

彼女は「さび猫」という品種?の変わった毛色の猫です。
茶色、黒色、白がバランスの悪い分布で混ざっているから一見、黒猫の変な突然変異のような毛色のようにも見えます。
今年13歳になるお年寄り、おばあちゃまです。

この頃、高いところからジャンプができなくなっています。
長男は肩にジルのせて立ち上がり、「ジルはこの頃、ここから飛び降りれんようになったわ」と言います。
「あんたねえ、ジルは人間にしたら百歳をこえてるんや。優しくしてやってね。私より年寄りなんやからね」この後半のセリフも決して忘れないで付け加えます。
エアロビクスやってる私のことはもちろん、水泳でおばさん連中にいきがって『エレガントに泳ぐには……』なんて指導している私のことも内緒です。
ジルを「猫のお岩」と言った人がいます。「こいつが玄関におったらみんな逃げて行くわ」。この子がきれいな目をしているのを分かっているのでしょうか。

ジルはS市で生まれました。
生まれてすぐにどぶに捨てられて鳴いているのを小学生の女の子に救われました。
その子がジルをペットショップ「さつき」にもって行き、「おばさん、この子を助けてあげて……」と頼んだそうです。
ペット屋の娘さんが苦労してスポイトでミルクをあげていたそうです。
そのとき、私は最愛の猫を交通事故でなくしたばかりのとき、そんな訳でジルをもらってきました。モモと言う猫が死んだ一週間あとでした。
この子が今は私を慰め、癒してくれています。
猫は癒される必要のある人のそばによくいる……と言います。
今の私は癒される必要があるのでしょう。

ジルは私と娘が夫の単身赴任先に移転するときも、四国から車で海を渡りました。ジルのほかにももう一匹「メイ」という猫を飼っていたのですが、その子は名古屋の家に移転して一年位でいなくなってしまいました。
ジルは名古屋で9年間生活した後、四国に戻りました。
私はその間、6年間、娘と東京で暮らしていました。ときどき名古屋に戻ると「ニャー」と言ってなつかしそうにしました。

次は、「第三章 1.義母の法事」